この記事では、ピレリのディアブロロッソコルサを色々な場面で使用して感じたことを紹介していきます。
YZF-R6に履かせてみて、ツーリングやサーキットで使用した様子などもまとめているので、よろしければ参考にして下さい。
本当は各メーカーのタイヤで走り比べたりできたらいいのでしょうが、一介のサラリーマンには荷が重すぎですね。
あくまで一般人目線での記事であることは留意していただければと思います。
ハイグリップタイヤ=グリップがよくて安全ではない
「ハイグリップタイヤはグリップが良いタイヤだから、どんな場面でも安全に走れるんだろう」
そんな風に考えたことがある方はいらっしゃいませんか?
これは大きな誤解であり、この記事で一番お伝えしたいことです。
タイヤウォーマーという道具をご存知でしょうか。
こんな風にタイヤに被せて温める道具です。
何故タイヤを温める必要があるのかというと、タイヤが適切に機能する温度にするためですね。
タイヤが力を発揮するためにはある程度条件を揃えてあげる必要があるということです。
以下で、各状況でタイヤから感じたことを紹介していきます。
サーキットでの使用
サーキットでは本当に色々な要素を上手く組み合わせて、バイクの性能を引き出したり自分の技術を発揮しなくてはいけません。
今回はタイヤを中心にしたお話ですが、サーキットで限界をさぐりながらの走行はバイク全体での完成度が求められるので、本当に難しいです。
では、肝心のタイヤの話をしていきましょう。
冒頭で記述した通り、タイヤはピレリのディアブロロッソコルサ、車両はYZF-R6になります。
走行したサーキットは袖ヶ浦フォレストレースウェイです。
一周2,436m、右回りの多いサーキットなのですが、テクニカルで難しいサーキットだと思います。
走行当日の路面温度は確か25度と表示されていました。
11月にしては晴れて暖かかったので、スポーツ走行には悪くない日だった気がします。
タイヤウォーマーは持っていないので最初の2周ほどは探りながら走行し、それから徐々にペースアップしていきました。
サーキット走行に不慣れだったこともありますが、正直なところ、ロッソコルサでは接地感が全く掴めませんでした。
ダンロップのスポーツマックスを履いていた時の方が接地感はわかりやすいなとはっきり感じました。
これはあとから考えたことなのですが、タイヤに熱が入って表面を溶かしながら走行する感覚があの感触だったんだと思います。
また、ロッソコルサでの走行に対する考え方が間違っていたようにも思いました。
もっとタイヤに適切な荷重をかけつつ、上手くスライドさせてコーナリングしなければいけなかったのでしょう。
特に大切なのが適切な荷重なんだろうなぁと感じたのはサーキット走行の後日に長距離ツーリングへ行った時ですが、これに関しては下記で別途まとめます。
私はロッソコルサに熱が入るとこんなに柔らかい手ごたえになるということがわかっていなかったので、ただ何となくタイヤが滑っている、という感覚しか走行中に理解できませんでした。
おそらく、他のメーカーのハイグリップタイヤを履くとまた印象が違って、乗り方も変わってくるのではないでしょうか。
装備のレベルが高ければ高いほど、ライダーに求められるレベルも上がるということですね。
YZF-R6に初めて乗った時もそういう印象を受けましたが、それはタイヤ単体でも同じなようです。
タイヤを活かすテクニックが必要
スライド進入、というテクニックをご存知でしょうか?
MotoGPをご覧の方でしたらよく知っている走法だと思います。
ちょうど、レーシングライダー渡辺一樹さんのブログで詳細に解説されている記事を見つけたので、こちらをご覧いただくと良いでしょう。
サーキット走行に関しては、私のレベルで偉そうなことは言えません。
ただ、ロッソコルサでサーキット走行をして感じたのは、タイヤの温度、空気圧、サスペンションのセッティング、装備の特性に関する理解、全てをまとめてライディングしないとタイヤもうまく使えないし、そもそも自分のライディングをどうバイクに合わせたら良いのかもわからないということです。
とにかく良いパーツ、良いタイヤを装備すれば速いバイクが完成するわけではない、ということがはっきりとわかりました。
ロッソコルサ以外のハイグリップタイヤにもそれぞれの特性があり、乗り方やセッティングが変わってくると思います。
ですが、タイヤを変える度にセッティングを見直し、サーキット走行で試行錯誤するのはとても大変です。
ひとまずタイヤに関して言えば、特にこだわりがない場合にはスポーツタイヤやツーリングタイヤ方が気軽に楽しめるのは間違いないでしょう。
長距離ツーリングでの使用
薄っすらとお分かりかと思いますが、ロッソコルサはツーリングに使うには繊細すぎます。
先日、一泊二日でツーリングに行き、高速道路も含めて750キロほど走りましたが、特に高速道路で不安を感じることがありました。
というのも、熱が入るとタイヤ表面がとても柔らかくなるからです。
高速道路を巡航していると、どうしてもパーシャルな状態になることが多いです。
そういった場面でタイヤが柔らかくなったせいか、ふとした拍子にリアがスライドすることがありました。
特にトラックから受ける風や、突然の横風などは通常より怖くなりましたね。
フロントにもふわふわした感覚になる時があり、ハンドルの振動も普段より大きくなっていたので、もしかしたらチャタリングが起きていたのかもしれません。
以前パンクした時と似た手ごたえだったので、最初はまたパンクしたのかと思いましたが、停まって確認しても全く異常はありません。
代わりに、タイヤを触ってみると表面がべたべたしていて、リアタイヤは親指で押すとべこっとへこむくらいの柔らかさになっていました。
それを見て、サーキット走行での感覚に合点がいったんですね。
これほどではないにしろ、タイヤが溶けて柔らかくなっている感覚がサーキット走行で感じた手ごたえだったのかなぁと。
その後、下道に戻ってタイヤがほどよく冷めたかなと思える頃に、強めにブレーキングした時やコーナーの深い場所などでその性能を強く感じることができました。
特にコーナー内部での挙動が素晴らしく、リアが勝手に出口に向かっていくような感覚で、あっという間に向きが変わる印象ですね。
これをサーキットで活用できたら速いし面白いんだろうなぁというのがよくわかりました。
ロッソコルサをうまく利用するには、適切な温度と荷重がとても重要なのだと思います。
そして、状態や場面を選べないツーリングにはロッソコルサは不向きだということもよくわかりました。
バイクという趣味に何を求めているのかよく考えよう
趣味としてバイクを考えた時、とても色々な要素を含んでいることがわかります。
どんな趣味もそうかもしれませんが、まずはお金と時間がかかりますよね。
今回、ハイグリップタイヤであるロッソコルサについてあれこれ考えてみると、やはりお金と時間がかかるなぁと思いました。
つまり、タイヤの特性を理解する時間やライディングをセッティングに合わせていく時間と、その特性を生かすパーツやサーキット走行のお金がかかる、ということです。
正直なところ、ここから先は沼だなという印象を受けました。
おそらく、お金と時間が無限にかかるでしょう。
突き詰めていけば、こういったハイパフォーマンスな装備はサーキットでのタイム短縮が目標だと言えますが、趣味としてバイクを考えた時に、それらは一線を画す範囲であるものなのは間違いありません。
更に転倒というリスクもあります。
ツーリングでも転倒のリスクはありますが、サーキットは限界を見定めながら走るので、よりリスクが高いですね。
ライディングはとても楽しいし好きですが、健康を犠牲にするわけにはいきません。
今回、ハイグリップタイヤであるディアブロ ロッソコルサを通してここから先の世界がどういう場所なのか垣間見たことで、自分がバイクを通して何をしたいのかがよくわかった気がします。
やはり、やってみないとわからないことがたくさんありますね。
ロッソコルサには、とても勉強になる経験をさせてもらいました。