こんにちは、ミチヤです。
本記事では、ヤマハの逆輸入車として販売されている、ミドルクラススーパースポーツYZF-R6を紹介します。
YZF-R6に1年ほど乗ってみた感想として、9つの特徴をなるべく細かくインプレしたので、興味のある方はご覧下さい。
YZF-R6とは
まず、ミドルクラスSSというと、CBR600RRが生産終了になったように斜陽ジャンルになりつつあるカテゴリーです。
そんな中、YZF-R6をモデルチェンジしてリリースしたヤマハには賞賛を送りたいです。
以前から、YZF-R6はスーパースポーツバイクの中でも異彩を放っていた存在でしたが、本当に唯一無二の存在になりました。
しかもミドルクラスはスーパースポーツということで値段は高く、ネイキッドなどならリッタークラスが買える価格帯です。
更に言えば、もう少しお金を出せば最上位ランクであるリッターSSが買えるので、どうせ買うならリッターと言ってなかなか手が伸びないジャンルのようです。
私もかつて同じように迷っていましたが、最終的にYZF-R6を買って本当に良かったと思っています。
何故なら、このミドルクラスSSというジャンル、そしてYZF-R6でしか味わえない魅力があるからです。
ミドルクラスは決してリッタークラスへの通過点ではありません。
では、ミドルクラスSSであるYZF-R6の何がそんなに良いのか。
YZF-R6に興味を持たれた皆さんに、少しでもその魅力が伝われば幸いです。
レースでの使用などガチガチなカスタムを考える方以外は、以下の点だけ抑えておけばOKです。
- 優れたデザイン
- 逆輸入車(スピードメーターkm/h表示)
- 装備重量:190kg
- 馬力:118.4PS
- シート高:850mm
- タンク容量:17L(ハイオク)
- 6段階のトラクションコントロール
- クイックシフター(シフトアップのみ)
- 3つの出力モード(A,STD,Bモード)
以下で、各項目について触れていきます。
外観
まず、バイクの性能も大事なのですが、やはり見た目も同じくらい重要な要素です。
このYZF-R6のデザインは本当に美しいの一言に尽きますね。
バイクに興味のない会社の先輩にも「このバイク綺麗だね」と言われました。
ツーリング先で、地元の方に「これは良いバイクだね」と声をかけてもらったこともあります。
その方は70代か80代くらいのおばあちゃんでした。
本当に良いものは誰にでも良さが伝わるんだなぁと感じたことを覚えています。
出回っている台数も少ないので、ライダーの方でも「初めて見たよ」なんて声をかけてもらいますね。
今回のモデルチェンジでYZF-R1に近いデザインとなりましたが、そもそもR1のデザインはMotoGPマシンであるYZF-M1のデザインから来ています。
モーターサイクルショーの時に撮った写真ですが、いかがでしょうか。
兄貴分であるYZF-R1よりもYZF-M1に近いデザインになったような気がします。
このデザインはレースという極限の世界で磨かれた技術の結晶でもあるのでしょう。
また、カラーリングにも目を見張るものがあります。
この色合いがまた素晴らしくて、天気が良く光がよく当たると発色がよくなっていきます。
これはガラスコーティングの効果もあるのかもしれませんが、光の量で発色が変わるのです。
それぞれのバイクにそれぞれの魅力があると思いますが、このスーパースポーツというジャンルではYZF-R6が抜きんでて秀でたデザインを持っているのではないでしょうか。
・誰が見ても美しいデザイン
重量とエンジン
市販車で600ccより下のクラスとなると400ccですが、そのクラスのバイクより軽く、当然パワーも上回っているのでとても軽快な走行が楽しめます。
他の大型バイクと比較しても当然軽いですね。押し引きしてもその軽さがよくわかります。
ハンドルの切れ角がないのでUターンは苦手ですが、取り回しは楽な方だと思います。
ワインディングで軽く流しているだけでもひらひら曲がるので、本当に楽しいです。
リッターSSだと少し重さを感じるので、これは大きな強みですね。
また、YZF-R6のエンジンは超高回転型なのが特徴で、現在同等の回転数を出せるバイクは市販されていません。
アクセルに即座に反応して、ひゅんひゅん回るのが本当に気持ち良い。
余談ですが、YZF-R6がモデルチェンジする前にはMTシリーズが出始めていて、ヤマハからも三気筒エンジンがリリースされていたことから、YZF-R6も三気筒になるのでは、なんて話もありました。
世界最高峰のバイクレース、Moto2の世界でも今後ミドルクラスは四気筒600ccではなく、三気筒765ccのエンジンが使われることになっているので、今後ミドルクラスSSにはこの四気筒600ccというエンジンが搭載されない可能性があります。
トライアンフのデイトナ675やアグスタのF3などの例もありますからね。
性能、そして希少価値という面でも、YZF-R6のエンジンは本当に特別な存在になっています。
もちろんただ回るだけでなく、パワーに関しても十分なものがあります。
かと言って、パワーがありすぎて扱いにくいと感じたことは全くありません。
アクセル開度でパワーをコントロールするのにちょうどいい出力です。
また、よくYZF-R6は下が薄い、なんて書かれていたりしますが、そんなことはありません。
確かに適切なギアが選択できていないときはそう感じることもありますが、それは他のバイクも一緒ですしね。
本当にそう感じる方というのは、リッターバイクに乗り慣れてしまっている方だけではないでしょうか。
リッタークラスのバイクというのは、アクセルを開けるのを我慢しながら乗らなくてはいけないくらいパワーが有り余っていますからね。
YZF-R6のエンジンは高回転型ですが、常に高回転を維持しなければならないなんてこともありませんし、アイドリング発進も普通にできます。
ちょっと回せばあっという間に100キロ出てしまうバイクに、パワーがないわけがありません。
YZF-R6がトルクがないとかピーキーとか言われているのは出力制御のせいです。
後述する出力モードのAを選択すると、8000回転くらいから本来の力を発揮し始めます。
理解して乗れば、YZF-R6はとても素直なバイクですよ。
・車体が軽い
・超高回転、唯一無二の四気筒600ccエンジン
シート高
はい、高いですね。850mmですからね。
おそらくYZF-R6の購入を検討されている方で、一番の悩みはシート高なのではないでしょうか。
ですが諦めないで下さい。数字ではとても高いですが、シート前方がとてもスリムに設計されているので、意外と大丈夫です。
前方細くなっているのがわかるでしょうか。
私は身長170cmで、両足を付くと爪先立ちになりますが、片足なら余裕でべったりつくことができます。
足がつかなくて危ない、という場面には今のところ出会ったことがありません。
厚底のブーツを履いているわけでもなくて、そのくらいシート上での移動もしやすいですということです。
ツーリング先で同じYZF-R6に乗られている方にあったことがありますが、私よりも身長が低かったです。
シートの高さは本当に慣れとしか言いようがありませんね。
ただ、慣れるまでは腰が持ち上げられている感覚があって、少し怖いかもしれません。
ですが、YZF-R6の魅力である軽やかなコーナリングは、このシート高から生まれるものでもあります。
YZF-R6の良さを味わうためだと割り切れれば、我慢できる範囲ではないでしょうか。
ともあれ、まずは実際にまたがってみましょう。
・シート高は慣れれば問題ない
タンク容量
今のところツーリングメインの使用で、燃費は大体16.5km/Lくらいです。
なので、16.5x17で280.5キロ走る計算になります。
他の方のインプレを見たりすると、2017年以前のYZF-R6ではもっと燃費が悪い方もいるようですね。
これは購入する前に少し危惧していたことだったのですが、実際は想像よりも良かったので安心しました。
これだけ走れるので、ツーリングでも困ったことはありません。
ただしガソリンはハイオク指定なので、遠出すると少し費用が気になるところではあります。
まぁ燃費を気にして乗るタイプのバイクではないですし、そもそもそういった方はSSを買わないでしょう。
・意外と燃費は良い
トラクションコントロール
電子制御関連のお話になります。
とりあえず、トラコンはサーキットでしか関係ないと思ってもらっていいです。
公道で作動していたらちょっと際どい走行をしている感じなので、そういった走行はサーキットでしましょう。
ツーリングやワインディング走行で関係あるのは、クイックシフターとモード切替ですね。
・トラクションコントロールはサーキット用
クイックシフター
YZF-R6にはシフトアップ時のみ作動するクイックシフターが標準装備されています。
これはクラッチ操作なしでシフトアップすることができる優れもので、あらゆる場面で活躍します。
ツーリングではクラッチ操作の半分が必要なくなるわけですから、疲労度が全く違いますね。
特に大型バイクはクラッチが重くなる傾向がありますから、これは本当に嬉しいです。
また、おそらく人間が操作してクラッチを切るよりも早い操作ができるので、その結果リアタイヤへの駆動力が切れる時間が短くなり、安全というメリットも生まれます。
ただ、あまり遅い速度で使用すると少し衝撃が発生します。
バイクが加速している時に使用可能なので、そこに関しては注意が必要です。
それ以外の操作に関しては全く問題なく、何か変な癖があったりもしないので、安心して使用できます。
また、クイックシフターは後から少しカスタムしたので、下記の記事も参考にしてみて下さい。
・クイックシフターは便利で快適
モード切替
モード切替はA、STD、Bという3つのモードがあり、左から順に出力が高いです。
じゃあAはサーキット用で、STDとBがツーリング用なのかな、と思われる方もいるかもしれませんが、ほぼあらゆる場面で、A以外は役に立ちません。
STDは街中でちょっとずぼらなアクセルワークをしたい、という時に使えなくはないです。
ただ、Cモードはちょっと出力を絞りすぎていて、全く前に進みません。
他のモードの感覚で発進しようものならエンストします。
セロー250の方が早いんじゃないかってくらい抑えられた出力になっています。
このモードに対して、「緊急時モード」と呼んでいる方がいました。
つまり、タイヤがパンクした時用のモードということです。
出力が極端に絞ってあるので、他のモードよりもタイヤにかかる負担を抑えることができます。
Bモードでは、そのくらい出力が抑えられています。
・出力モードはAが主役
ポジション
YZF-R6はSSで一番ポジションがきつい、なんて話もありますね。
実際どうなのかと言うと、確かにYZF-R6に乗る時の姿勢はきついと思います。例えばツーリングですと、あまり遠出をするとちょっと厳しくなることがありますね。
2015年にYZF-R1もモデルチェンジをして、YZF-R1も以前のモデルよりきつくなりました。
実際に各社のSSにまたがってみた感想としては、国産SSの中ではこのYZF-R1とYZF-R6が一番きつくて他は大差ない、という印象でした。
伏せている時と加速している時はとても快適に感じるんですが・・・
本当にスポーツ走行向けのバイクですね。
よくSSに乗ると手首が痛くなる、と言われる方がいます。
ポジションがきつい=前傾がきついと、腕に力が入りがちになってしまいますよね。
ですが、本来バイクは下半身で操る乗り物です。教習所でも教わるニーグリップですね。
本来、手が疲れる方がライディングとしては正しくないです。
特にYZF-R6は前傾なので、腕に頼ってライディングすると半日乗っていられないくらい手首が痛くなります。
なので、否応なくシートやステップへ荷重することを考えるようになります。
YZF-R6は元々性能が良いので適当に操作してもバイクなりに走れますが、ちょっと適当な作業をすると「それは違う」と教えてくれるバイクです。
もう少し具体的に言うと、不適当な操作をするとバイクがぎくしゃくします。やたら切れ込むとか、思ったより曲がらないとかですね。
上半身に頼ったライディングをしていると、おそらくそんな感覚になるかと思います。最初の頃は私もそうでした。
ですが、試行錯誤していくうちに段々YZF-R6の乗り方がわかってきて、それとともに上半身の疲れも減ってきます。
そして上半身に頼らずにライディングできるようになると、セルフステアリングがうまく使えるようになってくるので、コーナリングも楽しくなってきます。
YZF-R6に乗りながら、段々とバイクの操作が上達していくのです。
これはYZF-R6に乗った後、セロー250に乗った時に強く実感できました。
セロー250もとても軽量なバイクなので、何も考えなくてもライディング可能なのですが、YZF-R6に乗ったことでステップの使い方が身に付き、コーナリングなどの安定感が増しました。
下半身が使えるというのは林道ツーリングなどにも大きな効果があって、やはりバイクは下半身で操作するものなんだなぁと実感しました。
これは他のSSよりもスパルタンなYZF-R6に乗ったことで得られた経験ではないか、と思っています。
より正確な操作を求める方は下記の記事も読んでみて下さい。
・スポーツ走行向けのポジション
・下半身の使い方が上手くなる
足回り、ブレーキング
フロントの足回りはYZF-R1と同じものが標準装備しています。
2017年以前のYZF-R6に乗ったことがないので比較はできないのですが、足回りは本当にしなかやです。
スポーツ走行向けのセッティングにありがちな固くて乗りにくいという印象は全くありません。
デイトナ675Rに乗った時は結構固いなぁと思ったのですが、それと比較すると柔らかいと感じますね。
もしかすると公道向けに合わせてあるのかもしれませんが、柔らかすぎるという感じもありません。
YZF-R1に試乗した時も、バンプにすぐ反応してしまうような固さはありませんでしたし、そういう味付けなのだと思います。
本当にしなやかとしか言い様がないですね。
これはブレーキングの時も同じような感覚があります。
少し速度が出ている時に思いっきりフロントブレーキをかけても、とても落ち着いていられるんです。
これはコーナーの中でも同じような感覚があります。
車体が安定しているというのはSSだからわかるんですが、とにかく挙動が静かなんですね。
ブレーキング中、地面に抵抗して減速しているというよりは、速度が引いていくような感じがします。
大袈裟ですが、ヨハン・ザルコ選手(ヤマハ機に乗っているMotoGPライダー)が「ヤマハ機は落ち着いて乗る必要がある」とコメントしていたのもわかる気がしました。
以前乗っていたホンダのバイクだと、もっと地面にごりごりこすりつけているようなフィーリングで、しっかりブレーキングしてる感じが伝わってくる味付けでした。
それはそれで好きでしたが、YZF-R6に乗ってからはもうこちらの方が好きになってしまいましたね。
これはYZF-R6やYZF-R1に乗らないと味わえない感覚と言えるでしょう。
・上質な足回り
YZF-R6を購入する前には試乗がおすすめ
YZF-R6はスーパースポーツということもあって、値段も高価です。
ですが中古車を調べていると、慣らしを終えることなくYZF-R6を手放している方もいるようです。
下取りに出して別のバイクを買われるのでしょうが、それでもやはり幾分かは取り戻せません。
それに欲しくて購入したバイクを扱い切れずに手放す、というのは精神的にも気持ちいいものではありませんね。
YZF-R6はそんなに出回らない車両ではありますが、試乗する機会はちゃんとあります。
私がYZF-R6の購入を検討していた頃には、取扱業者であるプレストコーポレーションが行っているプレストキャラバンという試乗会があり、この試乗会で実際に乗ったのが決め手でYZF-R6を購入しました。
やはり乗ってみなければわからないことがたくさんありますね。
現在ではYSPさんやバイク屋さんが個別に試乗車を持っていることがありますので、ぜひ試乗してみて下さい。
YZF-R6は見た目だけで選ぶと痛い目を見る可能性が大きいバイクです。
セロー250もスペックだけ見れば貧弱なバイクですが、本当に楽しいバイクですしね。
もしこの記事を読んでYZF-R6に興味を持っていただけたら、ぜひ試乗会へ足を運んでみて欲しいです。
・スペック表だけでは本当の魅力はわからない
魅力に溢れるYZF-R6
本記事では、私がYZF-R6に対して考えていることを書けるだけ書いてみました。
文量が多くなったので、こちらでYZF-R6の魅力をざっくりまとめます。
- 回して楽しいエンジン
- 軽快なコーナリング性能
- 上質な足回り
では、どんな人にYZF-R6がおすすめできるのかと言いますと、このようになります。
- 見た目の良いバイクが欲しい人
- 個性のあるバイクが欲しい人
- ライディングが上手くなりたい人
逆に自分には不要だなと思われた方もいるかと思いますが、全く問題ありません。
自分が乗って楽しいと思えるバイクが一番良いバイクなのであって、高価なバイクや排気量の大きなバイクが必ず優れているわけではないですからね。
YZF-R6に興味を持たれた方の参考になれば幸いです。
それでは、良いバイクライフを。