クラッチ操作、負担だと思ったことはありませんか?
マニュアルのバイクに乗っていて、特にシフトダウンを面倒に感じている方、クラッチの重いバイクに乗られていてツーリングの度に大変な思いをされてる方、結構いらっしゃるんじゃないでしょうか。
私もまだツーリング経験が浅い頃、左手の握力がほとんどなくなって大変だった思い出があります。
ひどい人だと腱鞘炎になることもあるんだとか。
また、大型バイクのような高出力のバイクですとブリッピングをするのも結構大変だったりします。
そんな手間から解放してくれるのがオートブリッパーです。
私もYZF-R6にオートブリッパーを装備して、ライディングを楽しんでいますよ。
そんな便利なオートブリッパーに関するお話をします。
オートブリッパーとは
オートブリッパーとはクラッチを切らずにシフトダウンすることができるキットのことです。
クイックシフターという言い方もあるのですが、これはシフトアップする時のみクラッチを切らずにギアチェンジできるものを指す場合があります。
クイックシフターと呼ばれているものでも、シフトアップとシフトダウン両方対応しているものがありますので、装備の仕様をよく確認して下さい。
ちなみにですが、オートシフターという呼び方もありますが、特に違いはありません。
最近ですと、2018年モデルのYZF-R1に上下対応のクイックシフターが標準装備されましたね。
HONDAのCBR1000RRやSUZUKIのGSX-R1000などにも標準装備、オプションなどで装備できるようになってきました。
ハイパワーなバイクにはもはや必須になっている装備と言えますね。
私事ですが、YZF-R6にはシフトアップのみ対応したクイックシフターが標準装備されていましたが、シフトダウンは未対応でした。
これはYZF-R6を購入をためらう理由のひとつになりました。
結局、YZF-R6にオートブリッパーを後付けできるということがわかり、それが最後の一押しとなって購入を決めました。
ハイパワーなバイクにとってはそれくらい重要な装備だと考えています。
オートブリッパーがライダーを快適にする3つの理由
では、実際にオートブリッパーがあるとどんなメリットがあるのか。
想像していただけばわかると思いますが、クラッチ操作がなくなると本当に楽です。
単純に作業がひとつ減るわけですからね。
冒頭でも少し書きましたが、オートブリッパーのメリットは次の3つです。
- クラッチ操作がないので左手が疲れない
- ブリッピングが正確なのでクラッチに負担がかからない
- コーナーに安心して進入できる
個別に見ていきましょう。
左手が疲れない
これは単純明快ですね。
クラッチを切ったり繋げたりする動作がなくなることで、左手の疲れがほとんどなくなります。
クラッチを操作するのは発進と停車の時だけなので、全く疲れないです。
ホンダのカブに乗っている方や、デュアルクラッチミッション装備の車両に乗られている方はその恩恵がよくわかると思います。
そして左手が疲れないことによる一番の恩恵は、ライディング中の集中力が落ちにくいということでしょう。
つまり、事故などのリスクを低くすることができます。
疲れが出やすいのは長距離ツーリングですが、そのツーリング先や帰り道で事故になった場合、身体的にも金銭的にも負担が大きいです。
特にバイクで事故を起こすと怪我をする可能性が高いので、疲労軽減することはとても有益な効果ですね。
正確なブリッピング
オートブリッパーはその名前の通り、オート(自動)でブリッピング(エンジンの回転数合わせ)を行ってくれるパーツです。
速度が同じ状態のままでギアだけ落とそうとした場合、ひとつ下のギアでは同じ速度を出すのに回転数がもっと必要なので、クラッチを切った瞬間にアクセルを開けて適切な回転数まで上げておかなければ、スムーズなシフトダウンを行うことができません。
この作業がいわゆるブリッピングですね。
ですが、オートブリッパーがあればクラッチ操作をせずにシフトダウンした時に、電子制御が働いて必要な回転数まで勝手にエンジンを回してくれます。
自分で操作した場合は回転数を合わせ損なったり、クラッチを繋ぐタイミングを間違えたりすることがありますが、オートブリッパーは手間いらずでシフトダウンが正確に決まるので、操作がとても面白いです。
おかげでクラッチにも負荷がかかりませんし、バイクの動作も安定するので、よりスムーズなライディングを行うことが可能です。
コーナー進入
シフトダウンが必要な場面は主に二つあるかと思います。
- 赤信号などで完全に停車する場合
- コーナーの前などで速度を下げつつ走行する場合
完全に停車する場合は停まる寸前でシフトダウンすればいいですし、シフトダウンの後に動作がないのでそんなに負担になることはないでしょう。
オートブリッパーの恩恵が大きい場面としては、コーナリングが挙げられます。
基本的にコーナリング中にはギア操作はしませんが、コーナーに進入する前に速度を落としつつ減速します。
その際に、オートブリッパーがあればシフトダウンという作業を減らすことができるので、ブレーキングだけに集中することができます。
つまり、より適切な速度選択ができるようになるわけですね。
細かな話になりますが、フロントブレーキを握りながらブリッピングをするのはそれなりのテクニックが必要です。
ブリッピングすると、どうしてもフロントブレーキにかけた指がぶれてしまい、せっかくフロントにかけていた荷重が抜けてしまうことがあります。
公道ではあまり気にする必要のないテクニックかもしれませんが、正確な操作ができるようになると安全にも繋がるので、とても大切な要素でしょう。
オートブリッパー導入の障害
楽をしつつバイクの動きが正確になるので、基本的にオートブリッパー自体にはデメリットはありません。
故障が心配な方もいらっしゃると思いますが、万が一オートブリッパーが作動しなくなっても通常通りにクラッチ操作をしながらシフトダウンすればいいだけなので、走行自体には問題が出ないです。
なので、オートブリッパーのデメリットと呼べるものは性能以外のところにあります。
それが以下の3つです。
- 車種が限定されている
- 費用がかかる
- クラッチを切る楽しみがなくなる
以下で見ていきます。
オートブリッパーは装備できる車種が限定されている
残念ながら、全てのバイクにオートブリッパーを装備できるわけではありません。
何故ならオートブリッパーは電子制御の絡む装備なので、ただくっつければ機能するというわけではないからです。
セッティングには専用の機械が必要になるので、基本的にはお店にお任せすることになります。
私はと言うと、神奈川県にあるMotoJPさんに取り付けをお願いしました。
最近はレース活動などにも参加されており、現在はなんと鈴鹿八耐に参加されているそうです。
実績も十分と言うことで、安心してバイクを預けることができました。
肝心のオートブリッパー対応車種はというと、MotoJPさんの価格表からオプション料金表を選んで確認してみて下さい。
ヤマハのMTシリーズが主に対応している車種になっていますね。
他の車種でオートブリッパーを取り付けたいと考えている方は、お近くのバイクショップへご相談へ行かれると良いかもしれません。
そのバイクショップがECUのセッティングもやってくれるお店なら、可能性があります。
ただし、メーカー保証外になる装備だと思われるので、通常のバイク販売店だとやりたがらないカスタムです。
なので、カスタムを主に行っているようなお店を当たってみた方が良いでしょう。
費用がかかる
上記のMotoJPさんのオプション価格表などを見ていただければわかる通り、オートブリッパーを取り付けるのにはそれなりの費用がかかります。
最近だと、ホンダがクイックシフターをオプションでつけられる車種を出したりしていますね。
例えば、ホンダのアフリカツインのクイックシフターですと、税込みで64000円かかるようです。
MotoJPさんと比べれば安いですが、それでも高価なオプションですね。
とても悩ましいオプションだと言えるでしょう。
ブリッピングする必要がなくなってしまう
これはある種の人からすると、不満かもしれません。
マニュアルの良さは自分で操作できる範囲が広いことなのに、それをひとつなくしてしまうわけですからね。
クラッチが面倒ならオートマに乗ればいいじゃないかと思う方もいるかもしれませんが、それは違います。
そもそも、オートマはギア選択ができませんからね。
マニュアルが楽しいのはクラッチを切ることでなくて、自分の考えた通りにライディングできることではないでしょうか。
だとすると、クラッチを切ることやブリッピングをすること自体が楽しいわけではないはずです。
オートブリッパーを使えば自分の意思に応じた操作を簡単にできるようになるので、本質的な面白さは全く失われません。
むしろ、以前よりギアチェンジが楽しくなるおすすめの装備です。
オートブリッパーでワンランク上のライディングを
オートブリッパーは本当に素晴らしい装備ですが、車種も選ぶし、金額も高いです。
ですが、それを補って余りあるメリットがあると断言できます。
繰り返しになりますが、オートブリッパーはブレーキングやライン取りなどのライディングに集中させてくれるし、ツーリングでも疲れにくくなるという魔法のアイテムです。
似た感覚を試されたい方はホンダのデュアルクラッチ付きのバイクに試乗してみるのも良いかもしれません。
ご検討してみるのはいかがでしょうか。